着物の魅力とは日本の文化

身幅や袖幅がゆったりとした日本の着物は、平安時代の頃に作られました。今の形になったのは江戸時代のころと言われておりますが、形もデザインも特徴的な着物は、日本を象徴するアイテムのひとつとして人気を集めています。

着物は、洋服と作り方が違うので着方も独特です。今回は、着物の魅力と楽しみ方に加えて着るときのポイントを説明していきますので参考にしてください。

日本は、中国をはじめとする大陸の影響を大きく受けていました。飛鳥和裁良時代の上流階級は漢民族の支配者が着ていた「漢服」で、一般庶民は大陸の遊牧民が着ていた「胡服」が一般的な服装でした。

袖付きの服を着ていたのは、上流階級の人だけでした。室町時代の後期になって、肉体労働者も仕事のとき以外は、小袖を着るようになります。

外国にならって洋服を着るようになった明治時代以降も庶民は着物を着ていました。日本の伝統的な衣装である着物は、古き良き日本を連想させます

着物の魅力とは?

  • 季節を楽しめる
  • 職人の技術やこだわりを肌で感じられる
  • 長く着ることができる
  • 所作が美しくなる

 

季節を楽しめる

着物には数え切れないほど多くの柄があります。四季を表した柄も多く、季節ごとに着分けてコーディネートを楽しめる点が着物の魅力です。

  • 春:桜、桃、菜の花、撫子、鯉のぼり(こどもの日)…etc
  • 夏:あじさい、朝顔、蓮、百合、睡蓮、花火、風鈴、うちわ…etc
  • 秋:紅葉、山茶花、秋桜、萩、稲穂、月・うさぎ(十五夜)…etc
  • 冬:椿、水仙、梅、松、菊、雪、羽子板(正月)…などetc

 

柄を選ぶことで、日本の四季をより強く実感できるようになるでしょう。

職人の技術やこだわりを肌で感じられる

物は、生地の織り方・染め方・仕立て方のどれをとっても職人技が詰め込まれています。

同じ種類の着物でも、作者や生産地・制作方法によってまったく異なるものが完成するのです。

着物だけでなく、帯や小物も同様です。制作過程や技術が違えば、完成品の見た目や質感・使用感なども全く異なります。

仕立て(和裁)に関しては洗い張りを出すときや、自分で解いてみたりほころびを自分でなおしたりすると和裁の技術を感じてもらえる事と思います。

職人の技術やこだわりを肌で感じられるのは、着物が持つ大きな魅力です。

 

長く着ることができる

祖母・母・子と三世代に渡って着物を受け継いでいる方もいるのではないでしょうか。このように、着物は長く着ることができます。生地が丈夫で傷みづらく、万が一傷んでも修繕が可能だからです。

また、着物は体型が変わっても着付け方次第で同じものを着られるため、背格好が変わっても長く着続けられます。

さらに、着物は洋服と比べると流行廃りがあまりなく、落ち着いた柄を選べば年齢・時代問わずに着られる点も長持ちする要因の一つです。

所作が美しくなる

着物を着ると姿勢が正されるため、猫背やガニ股などの癖を直せます。

歩幅を小さくして歩いたり、手を挙げる際に袖口を押さえたりと、一つ一つの所作も美しくなります。「着崩れしないように」「着物を汚さないように」と気をつけるだけで自分の動きを気にするようになるのです。

また、着物着用時の所作や立ち振る舞いにはある程度のマナーやルールがあります。マナーやルールを学び、実践することで美しい所作を身につけることも可能です。

習い事することでこれらの所作が自然と身につき美しさを感じられます。

着物の種類

打掛(うちかけ)

黒紋付(くろもんつき

黒紋付は不祝儀の際に着用します。黒一色で仕立てられており、背中・両後ろ袖・両胸に一つずつ紋が入っています。模様はありません。

振袖(ふりそで)

振袖は未婚女性の第一礼装です。成人式で着た経験がある方も多いのではないでしょうか。卒業式や入学式で、袴と合わせて着用することも多いです。

成人式で着る中振袖は、結婚式のゲストとして呼ばれた際にも着ていくことができます。

中振袖よりも袖の長い大振袖は、結婚式の花嫁衣装としても使われます

黒留袖(くろとめそで)

黒留袖は既婚女性の第一礼装です。新郎新婦の母親や仲人の方が、結婚式に参列する際に着用します。それ以外で着ることはほとんどありません。

真っ黒な生地に鮮やかな絵羽模様が入っている点が特徴です。また、黒留袖には背中・両後ろ袖・両胸に一つずつ紋が入っています。

色留袖(いろとめそで)

生地が黒色以外の留袖を、色留袖と呼びます。

五つ紋や三つ紋が入った色留袖は、新郎新婦の姉妹が結婚式に着ていけます。一つ紋の色留袖は準礼装にあたり、子供の入学式や卒業式で着用可能です。

 

訪問着(ほうもんぎ)

訪問着は、襟や袖をまたがって柄が続いている着物です。準礼装ですが、結婚式やお宮参りなどのフォーマルな場面だけでなく、観劇やお食事会などのカジュアルな場面にも着ていけます。同窓会・祝賀会といったセミフォーマルな場面にも適しています。

 

付け下げ(つけさげ)

付け下げは、格が高い袋帯を締めると準礼装に、格が低い名古屋帯を締めると略礼装になります。

準礼装としての付け下げは卒業式や入学式・お宮参りなどの格式高いシーンにふさわしいです。略礼装としての付け下げは、観劇やお食事会などの格式張らないシーンに合います。

左肩に、衿や袖の縫い目を跨がないワンポイントの柄が入っている点が特徴です。

色無地(いろむじ)

色無地は、付け下げ同様、締める帯によって着物の格自体が変化します。また、地紋の有無でも格が変わります。

特徴は、柄が入っていない点と、白い生地を黒色以外の一色で染め上げている点の2つです。

小紋(こもん)

小紋は外出着です。友人とのお食事会や観劇・気軽な同窓会などに向いています。

生地全体に柄が入っている点が特徴です。柄の種類が豊富なので、さまざまなコーディネートを楽しめます。

紬(つむぎ)

紬は、外出着もしくは街着です。普段着だと考えて問題ありません。

紬糸を使って作られているため、生地が丈夫で軽くなっています。

重要無形文化財に指定されている種類もありますが、価値の高いものでも格が上がるわけではないので注意が必要です。

浴衣(ゆかた)

浴衣は、着物の中で最も格が低いです。

現代では、夏祭りや花火大会に着ていく服装として知られていますが、かつては湯上り着や寝巻きとして常用されていました。今でも、家着やパジャマとして浴衣を着る方は少なくありません。