羽織とコートその違い

着物の羽織

羽織の起原は室町時代からといわれ、 僧衣の直級から十徳が生まれ、 十徳が変化して, 羽織が生まれたといわれる。

明治以後, 紋付羽織は袴とともに男子和装の礼服となり, 婦人は紋を付けて略礼服とし て用いるようになった。 現在用いられているのは普通の羽織と茶羽織などである。

羽織の寸法は身丈以外は長着の仕上り寸法を基準にしてきめられ身丈だけはその時代の 流行と好みによってきめられる。

着物のアウターといえば、真っ先に上がるのが羽織。
元来、羽織は男が着用するものでしたが、江戸時代には粋の真骨頂であった深川芸者が着はじめ、その後女性に広まりました。
羽織の丈には流行があり、戦前は長め、戦後は短め、現在はやや長めのものが多いようです。 膝下まで長さがあるものを長羽織と呼びます。

羽織は長着の上にはおるもので、 特に衿付は羽織の生命といわれ、この技術は数多く縫 って会得しなければならない。

▲おおよそ、膝下丈を超えたら長羽織に入るようです

羽織は前が開いているので、羽織紐を付けて前を留めます。
衿に乳(ち)という小さなループが付いていますので、ここに羽織紐を取り付けます。


羽織に合う羽織紐を見つけるのが楽しみでもあります。

また、上級者は羽裏(はうら:羽織の裏地)にこだわります。江戸小紋の生まれた背景と同様、贅沢を禁じられた庶民はお洒落心を羽裏に込めました。それは現代でも引き継がれています。

昔の羽裏の柄は十二支から来ています

私は1968年生まれ申年ですが申の裏側虎になります 羽裏の話に戻りますが自分の干支の裏側の柄の葉裏を使えば後ろ側は反対の干支が自分を守ってくれるという言い伝えが有ります。今でも虎や鷹を描いた羽裏が存在するのはその名残りなのかもしれません。

羽織はお洋服で言うところのジャケットやカーディガンのようなもので、室内でも着用できます。
食事の際も着たままでOK。

着物に一枚羽織ると、きちんとした上品な装いに見えます。

丈が短いとカジュアル感があります。
長羽織は丈が長いぶん、エレガントな印象があります。室内だと屈んだり、座ったりする時に羽織の裾を踏みやすいので、動くときに邪魔だなと感じたら脱いだほうが良いですね。

袖丈

着物の袖丈と同寸か、五分短く仕立てると、着物の袖が振りから出てくることを避けられます。

マチ

コートにも着物にもない部位。たたむときはマチの中心を脇線と見立てて。

衿の後ろ

後ろで衿を外側に半分折り返して着用します。

たてに折り返してある全体が衿です。広幅分の衿を織り込んで仕立て、衿にある程度の重みを持たせておくと、前下がりで衿がひっくり返りにくくなります。



羽織は女性の正装ではありませんが、色無地や江戸小紋に紋付の羽織を着用すると略礼装になります。 着物姿が当たり前の時代、お母さんたちは黒紋付の羽織を着て子供の入学式に出席しました。

乳(ち)

羽織紐の両端や、S鐶(かん)を止める部分。乳の位置はとても大切で、羽織った時に帯の上線と帯締めの間に来るとバランスが良くなります。胸板が厚い人やふくよかな人、衿をたくさん抜いて着物を着る人は標準の場所に乳を付けると、羽織紐の位置が高くなってしまいますのでお仕立の時は注意が必要なポイントです。

羽裏

羽織の裏地。きれいな色や柄を入れれば、脱いだ時におしゃれです。

羽織の着方

羽織の着方はいくつかコツがあります。うまく着れないと不格好になる部分もあるので、着方のコツや羽織のきれいな着姿についてまとめました。

・衿の後ろを折る

羽織を着る際、衿は肩から後ろの部分を、「外側」に半分折って着用します。羽織の着方に関して、この衿を折る扱いが上手に着こなせれば上品な雰囲気が出ます。

着物の衿のカーブに合わせて、添うようなイメージです。
うまく折られていないと、着物が衿に隠れてしまい、背後から見た時に不格好になるので注意が必要です。

肩口から下は、自然に外側に折り曲げます。

羽織の脱ぎ方

脱ぐ際は、両方の袖を一緒に引きます。この時、両手を背中の方に持って行き肩からスルスルと落とすように下に引きましょう。肘まで落としたら、片方ずつ脱ぎます。
脱ぐときは、後ろ向きで行うと気品を損なわずに済みます。特に訪問先では注意したいですね。

基本的に、お茶席以外であれば室内でも特に脱ぐ必要はありません。ただし、そのまま座るときは裾を踏んでしまわないように気を付けましょう。長羽織は特に羽織の裾を踏みやすいので脱いだほうが良いでしょう。シワになるのを防げますし、座っている姿をキレイに見せられます。

羽織の丈

羽織の丈は流行によって長さが変わります。戦前は長め、戦後は短め、現在はやや長めのものが多いようです。昨今は膝丈ぐらいの長さの羽織が主流となっています

長羽織

膝下まで長さがあるものを長羽織と呼びます。長羽織は丈が長いぶん、エレガントでセミフォーマル的な印象があります。室内だと屈んだり、座ったりする時に羽織の裾を踏みやすいので、室内では脱いだほうが良いです。

また、お仕立てする素材によって長さを変える場合もあります。

例えば、重ためのしっかりとした質感の生地ですと丈が長すぎると重たい印象になるため短めにお仕立てすることもあります。

逆に、紗やレースなど軽やかで透け感のあるです素材と、丈が短いと余計に軽く感じてしまうので長めのお仕立てをおすすめする場合もあります。

このように、羽織やコートの丈感はその時代の流行や選ばれる素材等によって変わるものですので、一概に「この長さ」という決まりはありません。当方柊和裁で相談しながら寸法を決めるのが安心です。

着物のコート

コートは外出用の上着で, 元来合羽といい, 塵除け雨具 防寒用として使用されてい たものが発展したものである。現在の形は、明治28~29年ごろ、 東コートとして流行し始 めたものが起こりである。
現在では、塵除け・防雨・防寒用の他におしゃれ着として, ひろく使用され, 訪問先で は脱ぐのが常識とされている。
羽織の上に着用する場合と、 長着の上に着用する場合があり, 各部寸法を決める際に注 意する必要がある

和装コートの種類

以前は着物のコートと言えば道行きコートが一般的でしたが、昨今は衿の形や仕立て方が異なるいろいろなデザイン、素材も加わって、着物や帯を選ぶように楽しんで誂える事ができるようになってきました。

大まかなコートの違いですと

・防寒を兼ねたタイプの冬に着るコート

・塵除けコート

・雨ゴート

の3つがあります。

道行コート

衿まわりが大きく開いている和装用コートです。
道中着に比べてクラシックで上品な印象です。茶道をたしなむ人に愛用者が多いのも道行コートです。
衿まわりの開きは、四角い角衿、角が丸い都衿、菱衿、丸衿などあります。

道行コートは最も格式高いコートです。

雨ゴート

 雨ゴートは専用の生地で作るのが最適です。しかし、雨ゴート専用生地は種類が限られていると気に入ったものがなくて後回しになることもあります。小紋の生地を撥水加工して選んだり、既製品で仕立て上がった安価な品など昨今は多様な選択肢も増えてきているので一度当店店で相談ください。

塵除けコート

塵除けコートや羽織は、帯付き姿で街を歩くには抵抗があるという方や、より着物姿のおしゃれを楽しみたい方などに好まれます。ご自身のお持ちの着物の傾向に合わせて色・柄を選んでおくと重宝します。

羽織にするかコートにするかを迷われている場合は、室内で着たまま過ごすことをお考えなら羽織を、脱いで過ごすのをお考えならコートをおすすめします。ご自身の行動範囲や趣味などによって判断されるのが良いでしょう。

盛夏以外でしたら年中着用できる塵除けコート。人気の高いレースの塵除けコートは透け感が軽やかな印象です。お手持ちの着物の色柄の傾向で作っておくと使いやすい便利アイテムに。

防寒コート

冬の時期に重宝するのが防寒コート。寒がりの方や寒い地域の方はウール、フェイクファーや別珍などの防寒に適した素材を選べば真冬でも暖かく過ごせます。

いかがでしたでしょうか?

色々な素材のアウターがあるので、寒い時期だけではなく、一年中楽しむことができます。

これからアウターを揃えたい場合、袷仕立てまたは透けない素材の単衣、そして薄手の透ける素材。この二枚があれば、ほぼ通年カバーできます。

アイテム別では、着物ならではの雰囲気を楽しみたい方には羽織、
モダンでカジュアルに着たい場合はカーディガン、
きちんと見えるコートがほしい場合は、道中着か道行がおすすめです。
コートや雨コートは、必要に応じて揃えていきましょう。

アウターを活用して、着物のお洒落をもっと楽しんじゃいましょう!

#羽織#コート